「目他 – ユニバース」〜僕はウォーリーを探さない〜
- 11.4 fri - 11.13 sun, 2022
- 現代の風潮を独自の視点で奇々怪々に描き出す画家・因幡都頼による個展 『META – UNIVERSE / 目他 – ユニバース』を WATOWA GALLERY プロデュースによ り開催
- 因幡都頼が描く奇々怪々の世界は、スーツ姿のサラリーマンや制服姿の女子高生のような 現実を強く喚起させる記号に満ちているが、「コロナおじさん」のように擬人化されたモチ ーフ、さらには河童といった空想上の生き物も違和感なく同居している。そう、眼下で繰り 広げられるのは多層的な世界の住人による現実世界のパロディである。 その群像劇は一貫して俯瞰の構図で描かれ、瞬時にいくつかの既成イメージを連想させる だろう。例えば中世絵巻や近世初期風俗画など、日本の古典絵画の記憶がこだましている。 あるいは西洋のヒエロニムス・ボスや子どものころに熱中した絵本『ウォーリーを探せ!』 を思い浮かべる人も居るかもしれない。 今では高いビルや飛行機、ドローンの登場により 上空から地上を眺めることも容易くなったが、もともと俯瞰は仮想上の視点である。このメ タな視点を持つことによって、世界の営みを冷静に観察することができるだろう。一方で画 中に描かれる生々しい人物(アバター)に共感を覚えるならば、その視線を借りて描かれた世 界に生きることも可能かもしれない。この俯瞰と同化を繰り返すことで、因幡の絵画世界は より豊かに、饒舌に語りはじめるのである。