⌘C + ⌘V

10.30.sun 〜 11.13 sun, 2022

この度、アートプロジェクト集団 WATOWA GALLERYは、2022年10月30日(日)より WATOWA GALLERY / THE BOX TOKYO
(東京都台東区今戶1丁目2-10 3F)にて大澤巴瑠(おおさわはる)による個展 “ ⌘C + ⌘V ” (command CV) を開催いたします。

ARTISTS

大澤巴瑠

STATEMENT

「command CV」とは、PC上でイメージや文字情報をコピーアンドペーストする際のショートカットキーのこと。
「command C」はコピーを、「command V」はペーストを意味する。大澤は自身の制作スタイル、プロセスをこの言葉で表現し、本展のタイトルとした。その創作プロセスはユニークで、コピー機で自身の描いたものをコピーし、あるいはコピー機に直接インクを垂らして生まれたイメージをコピーし、それを印刷色であるCMYKの4色を用いて肉筆で模写(ペースト)するというものだ。地の色の銀箔は、コピー機でコピーする際の発光を表現している。コピー機によるコピー、そしてさらに身体を介した模写という、二段階による複製行為が行われているわけだが、コピー機によるコピーが
完全なる複製になるかと言えばそうではなく、意図しないズレが生じたり線が入ったりという「バグ」が起こる。そしてさらにそれを身体をもって描いているため、それは複製行為でありながら、決してまったく同じものとはなり得ない一回性をもった創造行為となる。複製と言えば、ヴァルター・ベンヤミンが『複製技術時代の芸術作品』において、複製可能な芸術作品は時間的、空間的一回性、「いま」「ここ」にひとつしか存在しない作品にある「アウラ」が消失するとしたが、大澤の複製行為は、複製行為によってしか生じ得ないわずかな「バグ」や「ズレ」を際立たせることにより、作品に時間的、空間的一回性を持たせており、むしろ複製によって「アウラ」を生じさせ
ていると言えるのかもしれない。
そう、大澤の作品は、複製でありながら複製でないというパラドックスを孕んでいるのだ。それは同時に、大量生産、大量消費というものに対して、あえて複製行為をもって対抗したアンチテーゼともとれる。
コピーアンドペースト「command CV」によってあらゆるイメージを簡単に複製できる時代に生まれた、大澤独自の「command CV」を、本展を通じてご覧いただきたい。

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