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FRONTIER
11.27 sun〜12.5 mon, 2022
塚本暁宣は、アニメやカートゥーンに登場する人気キャラクターを、歴史的な絵画技法であるキュビズムやシュルレアリスムを用いてユーモラスに描き出すアーティスト。2016 年から 2020 年にかけ滞在し ていたアメリカ・ニューヨークポップアートに影響を受け、さまざまな表現方法をミックスする“サンプ リング”の手法で、独自の作品を発表しています。
本展では、これまでにも人気を博してきた「ニューキュビズム」シリーズを、即興画や背景画などの要素 を加えた新たな表現方法でアップデートした作品を発表。インスタレーションのようにレイアウトする など、新たな表現方法に挑戦することで、タイトルでもある“フロンティア(境界)”を超えていくことを 目指す展示となります。
絵画の中でキャラクターと共に繰り広げられる、新たなポップアートの世界をぜひご覧ください。
STATEMENT
塚本暁宣はキャラクターが持つ特徴や性質を解体し、見落とされていた側面を浮かびあげ、美術の歴史
の中で繰り広げられて来た多様なモノの見方と組み合わせ、ユーモアを絵画の中で繰り広げることで「画
家」という存在を体現しています。
塚本の絵画の特徴は、アニメやカートゥーンのキャラクターをキュビスムやシュルレアリスムのサンプ
リング、そして未来派のようなダイナミックさなど、美術史を参照元にして再構成するところにありま
す。
また彼のように既存の表現方法を引用する「サンプリング」の手法はポップアートの代表的な要素です。
塚本自身、影響を受けた作家としてゲルハルト・リヒター、ピカソ、ゴヤ、マックス・エルンスト、村上
隆を挙げていますが、そうした美術の歴史に名前を刻む作家の作品の手法を解釈し、転用し、画面上でミ
ックスすることで複雑な要素も一つの作品に昇華させています。美術やカルチャーを文脈から切り離し、
それぞれの素材が持つ魅力を再発見するように構成する制作はポップそのものと言えるでしょう。
あらゆるカルチャーにおいて、ヴィンテージアイテムやアーカイブがハイラグジュアリーカルチャーの
ムードを転用し、自由にサンプリングすることが当たり前になった現代において、塚本の作品は流通す
る新旧の動的なイメージを、美術史の力を借りることで新しい美学へと発展させているのです。