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MARIKO ENOMOTO SOLO EXHIBITION
もりのなか・In the Woods
11.29 mon – 12.6 mon, 2021
2021年11月29日(月)~12月6日(月)の期間中、WATOWA GALLERYのプロデュースにより、画家 榎本マリコの個展「もりのなか」を、渋谷二丁目に位置するオルタナティブスペース「elephant STUDIO」にて開催いたします。
書籍やCDジャケット、演劇のビジュアルなどでアートワークを手がけてきた榎本マリコは、植物や動物が顔を覆うポートレート作品を発表し、国内外で人気を博しています。本展「もりのなか」では、これまで匿名の人物を描いてきた榎本が、初めて実の娘たちをモデルに森をイメージして描いた新シリーズを発表いたします。また、本展よりWATOWA GALLERYの所属アーティストとなり、画家として精力的に活動を広げていくこととなります。 新たなステージへと歩みを進める榎本マリコの新作の数々を、ぜひご覧ください。
ARTIST
榎本マリコ
→ABOUT ARTIST
STATEMENT
本展覧会「もりのなか」では、これまで主にイラストレーションや装画の分野で活動してきた榎本がアーティストとして制作した作品のなかから、森をテーマにした新シリーズと、榎本の代名詞とも言えるポートレートに幅広いモチーフを組み合わせた作品群を展示いたします。榎本の作品は、植物や生物が目や鼻を覆い隠すように配されたポートレートに特徴づけられますが、それだけに留まらず、顔のなかに風景が広がっているように見えるものや、上半身が植物ですっかり覆われてしまっているような作品など、顔の見えない人物を軸に多様に展開されています。榎本が影響を受けたというエリザベス・ペイトンやリュック・タイマンスといった新具象派的な描写に加えて、人物の顔面から異世界が広がる幻惑的な世界観からはルネ・マグリットやサルバドール・ダリといったシュルレアリスムのエッセンスも感じられます。榎本の近作は、絵画におけるこれらのジャンルを横断しながら、イラストレーションを芸術に接続し昇華させる試みといえるでしょう。 これまで匿名の人物を中心に描いてきた榎本ですが、本展覧会「もりのなか」では、はじめてモデルを配した作品を描き下ろしました。そして今回、榎本がモデルとして描いたのは彼女の娘たちです。 これまで榎本が描いてきた、顔が植物に隠された人物像では、突き放した雰囲気がひとつの魅力だったと言えるでしょう。 しかし今回、榎本は、最も近くで日々温度を確かめ合う娘を描くことで絵画に温かさを吹き込きました。 本展覧会のテーマでもある森は、都会の忙しない日常から逃れるシェルターやある種のユートピアとして人々に癒しを与える存在でもありますが、一方で、迷い込むとそこから脱することができない檻にもなりうる閉塞した環境です。いわば、人知を超えた独自のシステムを持つ、制御不能な恐ろしい生命体とも言えます。 また、森では異なる時間軸を持つ動植物が共存しています。300年前からそこにある巨木や、人間よりも短い時間で一生を終える動物、そして数時間で死骸となる微生物、その空隙をゆっくりと流れていく水など、多様な生を持つ有機体が集合することで成り立っているものでもあります。さらに、東京などの大都市において乱立するビル群もまた森になぞらえることができ、森としての都市はわたしたちの日々の暮らしにも密着したものとなっています。 このように、現代において森というモチーフは様々な隠喩を含みうるものです。娘をモデルに起用することで個別的で具体的な温度を帯びた顔のないポートレートと、森のこのような多面的な性質との出会いは、彼女の作品に対してより広く、そして深い解釈を開くものとなるでしょう。
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